人をゆるす、ということを初めてわからせてくれたのは、わたしをいじめた人でした

私事ですが先日、初孫クンが保育園に入園しました。
新しい環境に慣れるだろうか、と彼の母親である娘の心配をよそに以前からすでに入園していた「先輩」たちの遊びの輪に自分から声をかけて入れてもらったのだ、とか。やれやれ。

私もジイさんとしてはもちろん様子は当然気になっていました。
しかし、それ以上にちょうど同じ年頃に自分が初めて保育園に預けられたのを思い出していたのです。
それは私にとっては地獄の始まりだったからでした。

 

 

当時引っ越したばかりで、周囲に友だちはおろか知り合いすらいなかったのでした。
もともとひとり絵本やマンガを読んだり、絵を描いて過ごすのが好きな子どもでした。
しかも周りの同じ年ごろは女の子ばかりで、いつもおままごとのおとうさん役を任されていてばかり。
外で遊ぶにしてももっぱら野原のれんげ摘みやせいぜい鬼ごっこといったところで、およそ男の子のする遊びとは縁がなかったです。

そんな感じだったから新しい環境は当然緊張の連続。
周りにどう接していいのかわからなかったのでした。
なのでひたすら紙にマンガを描いていました。
当時は石ノ森章太郎先生の「仮面ライダー」「人造人間キカイダー」などが大人気。
自分で言うのもなんですが、それなりにうまかったのですぐに周りが集まってくるようになったのです。

やがてリクエストをもらうようになり、ある時に番長クラスの男の子に描いてみせました。
すると、どうにも描写がリアルすぎたらしく「口元がおかしい」と難クセをつけられ、怒鳴られ殴られたのでした。
気弱な性格で言い返せないのをいいことにその日からあれやこれやと命令されるようになってしまったのでした。

運動神経のないのを見抜かれていたので、遊具の一番高いところに登りよう命令され降りられず泣いたことは一度や二度でなく。
ぶらんこの立ちこぎもしたことがなかったので、何度も足を滑らせて落ちました。
後ろから振り子のように戻ってきたブランコに何度背中や頭を打ったか知れず。
マジ、ドリフのコントw

いつか仕返ししたい、と思いながら小学校ではいろんな地域の子たちが増えることとなりクラスも別々に。
そこからはほぼまったく見かけることさえ少なくなりました。
けれど、どこか恨みのような怖れのようななんとも言えぬモヤモヤした気持ちが胸の奥の方に残ったような気持ちは長くあったのでした。

 

そして彼とはその後、高校時代に駅でバッタリ再会することになったのでした。
一瞬ひるみつつも、なんと彼の方から声をかけてきたのです。
その時、背中にギターケースをしょっていたのです。ふたりとも。
当時人気だった長渕剛さんの髪型を私も彼も真似ていたのでお互い一目でファン同志とわかったからでした。

そこからは長渕さんの話やギターを出して見せ合ったりしながら笑い合って話したのでした。
まるでそれまでずっと友だちだったかのように。
そしてまた明日も会うかのように手を振り合って別れたのでした。

いじめられていたことなどすっかりどうでもよくなっていました。
もちろん、長らくモヤモヤしていたことなどひと言も話すことはなかったのでした。

音楽やっていてよかった、と思ったものでした。


あれからもう40年近く。
以来一度も彼と会うことはなかったのでした。

…とまあそんなことがあったので、当時の苦い体験を思い返してしまう私としては孫のことを思わぬわけはないのでした。
だが、そんな思いは杞憂に終わりました。

そして、今こうして思い返してあらためて気づくのです。

 

人を、ゆるす

 

初めて心からそれを経験した相手だったのかも知れない、と。

 

いつかまた会ったら今度は

 

ありがとう、と言えたらな、

 

 

Top Image by DivvyPixel from Pixabay

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